乳がん再発予防に使う抗がん剤

AC(EC)

A:ドキソルビシン(アドリアシン)またはE:エピルビシン(ファルモルビシン) これらをC:シクロフォスファミド(エンドキサン)とともに3週間毎に4回点滴注射をおこないます。乳がんの再発予防に使う標準的な投与量は、ACでは、A:60mg/m2、C:600mg/m2です。

EはAと類似のお薬ですが、同じ量を使った場合には副作用が軽いです。乳がんの術後療法では75mg/m2から100mg/m2の間で使用されますが、最適な投与量がきまっていません。ですので、当院では術後療法には使用せず、乳がんが再発したり転移したときに使います。

主な副作用は、脱毛(100%必発)、吐き気、白血球減少、全身倦怠感などがあげられます。人によって吐き気が強くでる場合がありますが、最近は良い薬がありますので、ほとんど吐き気がないという人だって少なくありません。まれに心不全、そして極めてまれに急性骨髄性白血病が起こることが知られています。

TC

T:ドセタキセル75mg/m2を、C:シクロフォスファミド(エンドキサン)600mg/m2とともに3週間毎に4回点滴をおこないます。ACと比較した研究では、より乳がんの再発を抑える効果が高かったのですが、われわれはほぼ同等として扱っています。ACの心不全や急性骨髄性白血病を回避する目的で、こちらをメインに使っています。主な副作用は、脱毛(100%必発)、白血球減少による発熱、全身倦怠感、関節痛、むくみ、爪や皮膚の障害などがあります。

タキサン(パクリタキセル・ドセタキセル)

乳がんで手術後にリンパ節転移がわかった人に対して、ACを4サイクル終了後にパクリタキセル(175mg/m2)というお薬を3週毎4サイクル追加すると、乳がん術後の再発率と生存率が改善されることがわかっています。パクリタキセル80mg/m2を12週間連続で投与するとさらに高い乳がんの再発抑制効果が得られることがわかったので、現在はこちらが主流です。

パクリタキセルは、溶解剤にアルコールが使われているので、もしお酒をまったく飲めないのなら、担当医に必ず告げてください。主な副作用は、脱毛と手先足先のしびれで、特にしびれは長く続くことがあり、対応に苦慮することがあります。当院では抗がん剤治療中に手先足先を冷やして副作用を減らしています。

ドセタキセル75mg/m2を3週間毎に4回点滴することで、同様の乳がん再発予防効果が期待できます。通院回数が少なくて済むのが特徴ですが、白血球減少による発熱がパクリタキセルより多いです。他に関節痛やむくみが目立ちます。